多くの生態系に普遍的に形成される酸化還元境界層は、多様な好気性・嫌気性微生物が隣接して生息する物質動態の最も盛んな部位です。酸化還元層は必ずしも定常ではなく、様々な環境要因・人為的要因による「ゆらぎ」を持っています。そこで我々は、酸化還元境界層のゆらぎが微生物群集の動態や微生物間の相互作用、温室効果ガスの代謝に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。水田を対象とし、圃場レベルの調査からモデル生態系や分離微生物を用いた多角的なアプローチにより、酸化還元境界層の変化と微生物群集の応答、物質循環の鍵微生物（例えば、光合成微生物、メタン生成古細菌、メタン酸化細菌、鉄酸化細菌、微生物捕食者）の酸化還元環境の変動に対する適応、異なる微生物群間の相互作用（競合、捕食）と酸化還元環境との関係を明らかにします。